彼らは興に乗ると机や壁を力任せにボコボコと殴りつけ、私のタバコやライターを無断でわしづかみにして持っていく。小用に立つと、なぜか男子用トイレの個室のドアを開けっ放しにして用を足す黒人女性に遭遇した。あまりに激しいカルチャーギャップゆえに、現地社会との摩擦は拡大している。

「街でアフリカ人客を乗せることが多いが、彼らはケチな人が多くて困る。タクシー代が32元のときは30元しか払わず、文句を言っても罵ってくるんだ。言葉が通じないからトラブルになることもある」

市内のタクシー運転手の困惑は深刻だ。業界でアフリカ人客の評判はかんばしくなく「黒鬼」と呼んで乗車拒否をする運転手もいるという。市場においても「アフリカ人はなんでも買ってくれるが、トラブルが多い」という声が複数聞かれた。

より厳しい声もある。アフリカ系商店が多数入居するショッピングビルのガードマンは取材にこう語る。

「連中は声が大きくて態度が傲慢だ。他国に来たのに自国のルールだけで生きていて、現地の文化を尊重しないんだ。なのに数ばかり増えやがって……」

他国では似たような陰口を、他ならぬ中国人自身が現地の人々から言われているが、自分たちが外国人を受け入れる側に回るとそんな感想も出る。「己の欲せざる所は人に施すなかれ」という孔子の教えを復習してほしいと思える話だ。

昨年9月、中国政府は外国人就労者のランク分け政策を発表し、低収入や低学歴の外国人を締め出す方針を示した。また、テロ対策や国家機密保持の目的から、いわゆる「三非(サンフェイ)」(不法入国・不法滞在・不法就労)外国人の締め付け強化も打ち出している。

国防やインテリジェンスを理由にした外国人締め付け政策と、国際的なプレゼンス拡大が目的の「大バカ」政策の狭間で、広州のアフリカ人たちは今後増えるのか減るのか。地域住民との摩擦は解消されるのか。

強国化を目指す中国の対外政策の矛盾が、こうした部分からも垣間見える。

●やすだ・みねとし/1982年滋賀県生まれ。ノンフィクション作家。立命館大学文学部卒業後、広島大学大学院文学研究科修了。当時の専攻は中国近現代史。著書に『和僑』『協会の民』『野心 郭台銘伝』など。※SAPIO2017年4月号

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